大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会

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ニュース26号 最高裁上告棄却! 大江岩波勝訴確定!
(2011.5. PDFファイル)

2011年4月21日
最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は、
全員一致で上告不受理を決定、

大江健三郎、岩波書店が勝利し、
大阪高裁判決が確定しました。

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最高裁決定(抜粋)

主 文

本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人らの負担とする。

理 由

 1 上告について
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲及び理由の不備をいうが,その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

 2 上告受理申立てについて
 本件申立ての理由によれば,本件は,民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

 平成23年4月21日
    最高裁判所第一小法廷
       
裁判長裁判官 白木 勇(以下略)


沖縄戦裁判上告棄却・上告不受理決定についての
声明

 2011年4月21日、最高裁判所第一小法廷(白木勇裁判長)は、平成20年(ネ)第1226号 出版差止め等請求事件、いわゆる大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判の上告および上告受理の申し立てに対し、「本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない。上告費用および申立費用は上告人兼申立人らの負担とする」との決定をくだした。このことにより、2005年8月5日大阪地方裁判所に提訴された裁判の大江・岩波側勝訴が確定した。2008年10月31日の大阪高等裁判所の控訴審判決が確定したこととなる。私たちは、この決定を当然のことと受け止める。

 本裁判は、特定の歴史観をもった人々による沖縄戦の真実を歪曲しようとしたきわめて政治的なものであり、原告本人が2007年3月の教科書検定結果の公開の際に、「教科書問題はこの裁判の大きな目標だったので、とてもうれしい」と述べたように、沖縄戦教科書記述の書き換えを狙う運動と結びついたものであった。

 原告の敗訴によって、高等学校日本史教科書検定の根拠はなくなり、彼らの仕掛けた論争は破綻した。裁判では、多くの体験者が命を削って証言・陳述をおこない、沖縄戦の実相を明らかにした。今後これらの成果を全国へと発信し、子どもたちに歴史の真実を伝えるツールの一つである「教科書」に反映させていくことが重要な課題である。

 私たちは、本決定によって「沖縄戦の事実」が確認されたとはとらえることはできない。確定した大阪高裁判決が、「このような歴史的事実の認定については、(中略)本来、歴史研究の課題であって、多くの専門家によるそれぞれの歴史認識に基づく様々な見解が学問の場に於いて論議され、研究され蓄積されて言論の場に提供されていくべきものである。司法にこれを求め、仮にも『有権的な』判断を期待するとすれば、いささか、場違いなことであるといわざるを得ない」(判決124頁)と述べるとおり、本裁判の判断に「沖縄戦の真実」をゆだねたわけでない。「沖縄戦の真実」は歴史研究として、沖縄体験者の証言、そして科学的な検証によって明らかにされてきた。裁判によって歴史事実をゆがめ国民の歴史認識を歪曲しようする方法は、戦争体験者の冒涜だけなく、不当な歴史書き換えの方法として糾弾されるべきものであり、その点を判決が踏まえていることを改めて確認したい。

 私たちは、今回の決定をうけて2006年度教科書検定によって不当に書き換えられた教科書記述を回復し、「沖縄戦の真実」を教科書に記述するための運動を引き続き行う。そして、文部科学省に対し、2006年度検定意見をただちに撤回することを要求する。すべての教科書の沖縄戦に関する不十分な記述を見直し、改善するとりくみをすすめる。

2011年4月25日

大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会

連絡先:大阪市北区芝田2−4−2牛丸ビル3階「うずみ火」編集部
                       電話・FAX 06−6453−2448


控訴審(大阪高裁) 判決


(↑2008.10.31. 大阪高裁にて)