大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の記録

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「沖縄戦裁判」と「教科書検定問題」関係書籍一覧

 大江・岩波沖縄戦裁判が提訴されのが2005年8月。沖縄で島ぐるみの講義の動きが巻き起こる発端となった教科書検定結果が公表されたのが2007年3月でした。それ以後、現在までに発表された関連の文献リストをまとめました。「原告側」に連なる歴史修正主義に基づく文献も含まれています。(2010.4.掲載)

日本ジャーナリスト会議編『「大江健三郎・岩波書店への訴訟」が狙うもの−沖縄戦「集団自決」と日本軍をめぐって』(2007年2月 日本ジャーナリスト会議「出版部会」

  岡本厚と梅田正己の講演記録。沖縄戦裁判での原告側主張に対する反論だけでなく、「集団自決」がなぜ起きたのか、その事実を歪曲しようとする意図などを暴く。

大城将保『沖縄戦の真実と歪曲』(2007年9月 高文研)

 沖縄平和ネットワーク代表世話人でもある著者がなぜ文科省は検定で「集団自決」の事実を歪曲したのか、沖縄住民が体験した「軍隊と戦争」について解明している。

琉球新報社編『写真集 沖縄のうねり』(2007年10月 琉球新報社)

 2007年9月29日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の記録。「集団自決」に関する過去の取材に基づく事実と教科書検定問題についての資料も。

座間味村教育委員会編『戦世を語りつぐ−座間味村平和学習ガイドブック』(2007年2月 座間味村教育委員会)

 座間味村への修学旅行生用の平和学習用ガイドブックとして、新たに30人の体験者の証言ー軍の命令があったーを加えて、座間味村の戦争を学ぶ資料。

沖縄タイムス社編 『挑まれる沖縄戦−「集団自決・教科書検定問題・報道総集』(2008年1月 沖縄タイムス社)

 沖縄タイムスが社を挙げて取り組んだ「集団自決」教科書検定問題の報道特集。ルポ・証言もついている大部の著作。

宮城晴美『新版 母の遺したもの』(2008年1月 高文研)

 2000年に発行された初版の誤りを訂正し、新たな証言と資料によって日本軍の命令・強制によって「集団自決」がおこったことを立証しようとした。

謝花直美『証言 沖縄「集団自決」』(2008年2月 岩波新書)

 沖縄タイムス編集委員であった著者が2005年の藤岡氏らの慶良間列島調査後、黙して語らなかった人々から聞き出した慶良間の「集団自決」の実相をまとめたもの。

中村政則『昭和の記憶を掘り起こすー沖縄、満州、ヒロシマ、ナガサキの極限状況−』(2008年7月 小学館)

 オーラル・ヒストリーの第一人者が生き残りの人々からの聞き書きをもとに座間味・渡嘉敷の「集団自決」が軍命令によるものであることを解明した。

石山久男『教科書検定ー沖縄戦「集団自決」問題から考える』(2008年8月 岩波ブックレット)

 2006年度高校日本史教科書検定で軍命令による「集団自決」の記述が歪曲された執筆者が検定の経過と問題点を明らかにし、検定制度そのものを根本から問う。

国森康弘『証言 沖縄戦の日本兵−六〇年の沈黙を超えて−』(2008年12月 岩波書店)

 沖縄戦で日本兵がどんな意識に基づき、どのような行動をとったのか、21人の元日本兵から聞き取り、「集団自決」を生んだ要因と背景などをえぐり出した。

林博史『強制された「集団自決」』(2009年6月 吉川弘文館)

 前著『沖縄戦と民衆』が教科書検定に悪用された著者が検定問題とともに、「集団自決」の原因を天皇制国家の支配構造から解き明かした。

栗原佳子『狙われた「集団自決」』(2009年6月 社会評論社)

 大江・岩波沖縄戦裁判と支援運動の経過、教科書検定問題、沖縄県での島ぐるみの怒り、「集団自決」の実相、控訴審判決までをジャーナリストが一冊にまとめた。

秦郁彦編『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』(2009年3月 PHP研究所)

 大江・岩波沖縄戦裁判の原告側の立場から、控訴審判決を批判し、宮平秀幸証言、曾野綾子の見解などから「隊長命令説」をくつがえそうとした。

屋嘉比収『沖縄戦、米軍占領史を学びなおす』(2009年10月 世識書房)

沖縄戦・米軍占領の記憶をいかに継承するかを課題に、「集団自決」をふくめ戦後世代が沖縄戦の当事者となる試みなど、沖縄の反戦運動の根っこを明らかにする

【写真・絵】

NHK沖縄放送局『沖縄戦の絵ー地上戦、命の記録−』(2006年6月 NHK出版)

別冊歴史読本 『沖縄戦記録−死闘の島でなにが起きたのか』(2008年4月 新人物往来社)

森住卓『写真証言 沖縄戦「集団自決」を生きるー渡嘉敷島、座間味島の証言』(2009年1月 高文研)

【雑誌】

雑誌『世界 沖縄戦と「集団自決」』(2008年1月 岩波書店)

雑誌『歴史地理教育 沖縄から見える日本』(2008年3月増刊 歴史教育者協議会)

 このほか、雑誌『世界』は、「集団自決」の事実、裁判について何度も取り上げている。2007年7月号は「『沖縄戦』とは何だったのか−『集団自決』問題を中心に」を特集しており、2008年6月号に大江健三郎「誤読・防諜・『美しい殉国死』ー沖縄『集団自決』訴訟地裁判決を聞いて−」が掲載されている。『週刊金曜日』も沖縄戦教科書検定問題を取り上げている。沖縄県歴史教育者協議会の機関誌『歴史と実践』は、26号で『戦後60年と沖縄戦』(2005年7月)、28号で『沖縄戦と2007教科書検定』(2007年8月)を特集しており、大阪歴史教育者協議会の機関誌『大阪の歴史教育』は、42号で『沖縄戦裁判と歴史教育の課題』(2009年8月)を特集している。沖縄県教職員組合は、沖縄平和教育シリーズ4で、『沖縄戦「集団自決」と教科書問題』(2008年4月)を扱っている。