大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の記録

HOME大阪高裁関係>控訴審始まる!(2008.6.25)

大江・岩波沖縄戦裁判の控訴審始まる!

 2008年6月25日、大阪高裁202法廷で標記の第1回口頭弁論が行われた。70枚の傍聴券抽選に156人が並んだ。2・2倍の倍率。山本明、藤岡信勝、秦郁彦、中村粲(あきら)の4氏も来ていたものの、原告側の傍聴動員数はかなり減った印象だった。当たりくじも大江・岩波側支援者の方が圧倒的に多かった。

 地裁では、34人いた控訴人(原告)側代理人は、高裁では6人と激減。衆議院議員稲田朋美弁護士も代理人から外れた。真相は定かではないが、我々の運動の広がりと地裁での勝利判決が、代理人の多くが手を引くまでに追い込んでいることには間違いない。

 13時58分、テレビカメラの2分間の撮影が行われ、14時ちょうどに口頭弁論が始まった。原告側が期日に遅れて提出した「控訴理由書」に対し数日前に訂正書が出されたのに、それでもなお、小田耕治裁判長は誤りと思われる箇所を複数指摘し、原告側代理人の準備のずさんさが浮き彫りとなった。

 双方の代理人から各10分の口頭陳述が行われた。原告側の徳永弁護士は用意した文書を早口で読み上げ、地裁判決の事実認定が一方的で不当だと主張。昨年12月26日の文科省の訂正申請結果を琉球新報等が「軍の強制は認めず」と報じたことを都合よく解釈した循環論法的な主張や、「地裁判決は『沖縄ノート』の頒布を否定しているのに岩波書店は増刷している」との主張を持ち出し、賠償額を増額したことには思わず閉口してしまった。

 原告側は秦郁彦氏の証人申請を行った。裁判長は「『諸君!』〇八年二月号の論文提出で十分ではないのか」と指摘して3人の裁判官は別室で協議し(その間約1分)「必要なしとして却下する」とした。裁判官は迅速な判断ができるほどに資料等を丹念に読み込んで準備をしている印象を受けた。第一回口頭弁論は14時42分に閉廷した。

 大阪高裁宛への署名が僅か3か月で13,703筆集まり、これらの署名は第四民事部に午前中に提出した。

 第二回口頭弁論は9月9日午後2時開廷と決まった。証人調べがないことからすると、今後は文書のやりとりだけの審議となり、早期に結審する可能性が高い。隊長からの自決命令があったことについて真実と信じるに足りる相当な理由があるとした一審判決を支持する高裁判決となるよう最後まで注目していきたい。

(N)