大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の記録

HOMENEWS>(2006年7月)

 

沖縄戦の真実知らせたい
  「大江・岩波」支援連絡会が発足

 沖縄戦初期、座間味島、渡嘉敷島で起きた「強制集団死」(「集団自決」)をめぐり、歴史改ざんグループに訴えられた作家・大江健三郎さんと岩波書店を支援する「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会」が発足した。第四回口頭弁論があった六月九日夜、エルおおさかで開かれた結成集会には、九〇人が参加した。

 冒頭、世話人を代表して、大阪歴史教育者協議会委員長の小牧薫があいさつ。政治的色彩の濃い提訴の背景について説明し、「裁判の勝利のため、被告大江さん、岩波書店と連携するとともに組織を立ち上げる必要があると考えた」と、支援への参加を呼びかけた。

 被告・岩波書店を代表して現代文庫編集部の大塚茂樹さんは、「岩波としても勝利に向けて力を出していきたい。沖縄戦の真実を歪めることは許さないという目的のため、皆さんと共闘したい」とアピール。岩波は、社内に「裁判対策プロジェクト」を立ち上げており、大塚さんもその一員だ。

 さらに、主任弁護人の秋山幹男弁護士が、これまでの経過と今後の見通しを説明。「民事裁判はスピード化している。私たちも力を振り絞って頑張りたいと思う」と力強く語った。

 参加者の中には、沖縄や東京、長野など遠方の人たちの姿も。続いて世話人が紹介され、太田隆徳(弁護士)、東谷敏雄(子どもと教科書大阪ネット21代表委員)の両名が代表世話人、小牧が事務局長に。「裁判勝利のために被告大江・岩波書店、弁護団と連携して支援の活動をすすめる」 「座間味・渡嘉敷島で起きた『強制集団死』をはじめとする沖縄戦の真実を多くの人々に知らせる」などの方針を確認した。今後は、弁論期日にあわせ、学習会なども設定していくことになる。

 その第一弾、発足を記念して沖縄国際大学教授の石原昌家さんが「軍民一体を意味する住民の集団自決−日本軍の作戦による軍事的他殺−」と題し講演。「集団死」の本質に迫った。