大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会の記録

HOMENEWS>(2006年5月)

 

「沖縄戦裁判」支援を

 61年前の沖縄戦当時、座間味島と渡嘉敷島で起きた「集団死」(集団自決)をめぐる裁判が、大阪地裁ではじまっています。

原告は、当時の座間味島守備隊長と渡嘉敷島守備隊長(故人)の弟。〈「集団自決」を命じたなどと虚偽の事実を著作に記され、名誉を傷つけられた〉として作家の大江健三郎さんと出版元の岩波書店に慰謝料と出版差し止め、謝罪広告の掲載を求めています。昨年8月に提訴。過去3回、口頭弁論が開かれました。

 これは単なる「名誉毀損」裁判ではありません。政治的な意図で、周到な作戦のもとに提起されたものなのです。

 原告側の支援組織の事務局や弁護団は「靖国応援団」と同じ顔ぶれ。顧問には自由主義史観研究会の藤岡信勝代表も名を連ねています。

 自由主義史観研究会も昨年来、「沖縄プロジェクト」と称し、沖縄戦を標的にしています。「軍が強要したというのは虚構」だとして、「集団自決強要」という教科書記述の削除も狙っています。

 この間、裁判を個々に傍聴していた者たちで支援のあり方を模索してきました。そして、第4回口頭弁論期日の6月9日、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会」を正式に立ち上げることになりました。同日夜、開く発足記念集会には、沖縄から、沖縄戦に詳しい沖縄国際大学教授の石原昌家さんをお招きし、講演していただきます。

 「軍官民共生共死」という軍の方針のもと、住民たちは鬼畜米英の恐怖を刷り込まれ、投降も許されませんでした。極限まで追い詰められ、「死」を選ぶしかなかったのです。私たちは、沖縄戦の史実を書き換えようとする動きを見過ごすわけにはいきません。みなさんもぜひ、支援の輪に加わってくださいませんか。